こんにちは、リキリツです。
私事ですが今年度下期の第二種電気工事士の技能試験を受験するので、受験勉強を始めました。
第二種電気工事士の技能試験は「単線図で与えられた課題を、支給材料を使って制限時間(40分)以内に完成させること」ですので、まず最初に単線図を複線図に描き換えるための知識と手順を覚える必要があります。
今回は単線図から複線図を描くためのポイントを書かせていただきます。
自分の学習のためのノートの意味合いもありますが、第二種電気工事士を受験される方にも参考にしていただければと思います。
1. 単線図の図記号と複線図の図記号
1-1. 単線図と複線図で図記号が異なる部品
単線図と複線図で図記号が異なる部品は「スイッチ類」と「端子台に置き換えられる部品」と覚えましょう。
下記の表にまとましたのでご参照ください。
【スイッチ類一覧】…単線図と複線図で記号が異なる
【端子台に置き換えられる部品一覧】…単線図と複線図で記号が異なる
※端子台に置き換えられる部品は候補問題で各1問ずつしか出てきません。(表の部品名の横の問題No.のみ)
1-2. 単線図と複線図で同じ図記号の部品
上記で挙げた部品以外のものは単線図と複線図で図記号は同じです。
図記号が変わらない部品は「照明器具類」,「コンセント類」,「パイロットランプ」と覚えましょう。
【照明器具類】…単線図と複線図で同じ記号
【コンセント類】…単線図と複線図で同じ記号
【パイロットランプ】…単線図と複線図で同じ記号
2. 複線図の描き方の基本ルール
複線図の描き方は基本ルールと複数の特殊ケースのルールを覚える必要があります。
基本ルールは下記の5つの手順から成ります。
①器具を問題図の配置どおり並べて記入する
②接地側電源線(白:N)を照明器具とコンセントにつなげて描く
③非接地側電源線(黒:L)をコンセントとスイッチにつなげて描く
④それぞれ対応するスイッチと照明器具の空き端子をつなげて描く
⑤接続部に差込コネクタは■、リングスリーブは●と刻印〇・小・中を書く
詳細と記入例を順に説明していきます。
①器具を問題図の配置どおり並べて記入する
2021年の上期の問題No.12を例に手順を説明していきます。
試験問題は上図のような単線図で与えられます。
複線図を描くためには、まず部品の図記号を単線図の配置通りに描いていきます。
部品は項目1で説明したとおり、単線図と複線図で図記号が同じものと異なるものがあるので注意してください。
1Φ2線100Vの電源とボックス部(ジョイントボックス及びアウトレットボックス)は以下の表に示すとおり置き換えて描きます。
ボックス部は各器具からの配線を接続する部分なので、大き目に描いておいたほうが良いです。
以上を踏まえて実際に描いてみると下図のようになります。
②接地側電源線(白:N)を照明器具とコンセントにつなげて描く
2番目に1Φ2線100Vの電源の設置側電線(白:N)を照明器具とコンセントに青色の線で繋げて書いていきます。
白色の線を青色で描く理由は、実際に描くときに4色ボールペンで線の色を換えて描いた方が間違いを防げるからです。
4色ボールペンで複線図を描くときは、黒線・赤線・緑線はそのままの色で、白線を青色で描くと分かりやすいです。
各器具からの配線は点線で描いたジョイントボックス又はアウトレットボックス内で接続するように描いていきます。
実際に描いてみると下図のようになります。
③非接地側電源線(黒:L)をコンセントとスイッチにつなげて描く
3番目に1Φ2線100Vの電源の非接地側電源線(黒:L)を黒色の線でコンセントとスイッチに繋げて描いていきます。
白線のときと同じように、各器具からの配線は点線で描いたジョイントボックス又はアウトレットボックス内で接続するように描きます。
実際に描いてみると下図のようになります。
※「ロ」のスイッチとコンセントは渡り線で接続するので、ボックス内で接続するのではなく図のように描きます。
④それぞれ対応するスイッチと照明器具の空き端子をつなげて描く
照明器具とスイッチにそれぞれ「イ」、「ロ」…という文字が示されています。
「イ」のスイッチと「イ」の照明器具を、「ロ」のスイッチと「ロ」の照明器具を繋いで線を描いていきます。
線の色に指示はありませんが、色を合わせられるものはできるだけ合わせるようにしたほうが分かりやすいです。
実際に描くと下図のようになります。
(イの系統)スイッチの白線→ボックス間ケーブルの黒線→引掛シーリングの黒線
(ロの系統)スイッチの赤線→ボックス間ケーブルの赤線→ランプレセクタプルの黒線
⑤接続部に差込コネクタは■、リングスリーブは●と刻印〇・小・中を書く
ボックス内の差込コネクタでの接続部に■を、リングスリーブでの接続部には●と刻印(〇・小・中)を書きます。
使用するリングスリーブのサイズと刻印は圧着する線のサイズ・本数で異なります。まとめると下の表のようになります。
本数 |
リングスリーブ サイズ |
刻印 |
---|---|---|
1.6mm×2本 | 小 | 〇 |
1.6mm×3~4本(※換算) | 小 | 小 |
1.6mm×5~7本(※換算) | 中 | 中 |
※換算…2mm×1本=1.6mm×2本 に換算した本数です。
例えば、2mm×2本と1.6mm×2本を圧着する場合は、2mm×2本=1.6mm×4本と換算できるので、合計は1.6mm×6本と換算できるので、リングスリーブサイズ「中」、刻印「中」で圧着します。
実際に描くと下図のようになります。
※リングスリーブのサイズ・刻印の間違いを防ぐため、太さ2.0mmの電線の横には「2.0」と記入しています。
3. 複線図の描き方の特殊ケース
複線図を描くための基本ルールに当てはまらない特殊ケースについても覚える必要があります。
特殊ケースは大きく分けて下記3種類でそれぞれ細かく分かれています。
- パイロットランプ
- 3路スイッチ・4路スイッチ
- 端子台に置き換えられる部品
特殊ケースを一覧表にすると以下のようになります。
No. | 大分類 | 小分類 | 問題 |
---|---|---|---|
3-1-1 | パイロットランプ | 常時点灯 | No.2 |
3-1-2 | 同時点灯 | No.10 | |
3-2-1 | 3路スイッチ・ 4路スイッチ |
3路スイッチ×2個 | No.6 |
3-2-2 | 3路スイッチ×2個+4路スイッチ×1個 | No.7 | |
3-3-1 |
端子台に 置き換えられる 部品 |
タイムスイッチ | No.3 |
3-3-2 | 自動点滅器 | No.13 | |
3-3-3 | 配線遮断器+漏電遮断器 | No.4 | |
3-3-4 | 配線遮断器+漏電遮断器+接地端子 | No.5 | |
3-3-5 | リモコンリレー | No.8 |
※右端の「問題」欄は特殊ケースが出題される問題番号です。
(特殊ケースは各1問ずつにしか出題されません。)
それでは特殊ケースを1つずつ詳細を説明していきます。
3-1. パイロットランプ
パイロットランプは施工条件(点灯条件)により接続の仕方が変わります。
第2種電気工事士試験の技能試験には「常時点灯」と「同時点灯」の2通りの施工条件があります。
3-1-1. パイロットランプ(常時点灯)…問題No.2
この条件は問題No.2で出題されます。
常時点灯という施工条件では、パイロットランプに常に通電するように接続します。
つまり「コンセント」と同じように、電源線の黒線(L)と白線(N)をどちらも接続します。
簡略図で表すと下図のようになります。
※黒線:黒色、白線:青色で表しています。
3-1-2. パイロットランプ(同時点灯)…問題No.10
この条件は問題No.10で出題されます。
同時点灯という施工条件は、対応するスイッチをONすると、対応する照明とパイロットランプが同時に点灯するということになります。
具体的には、パイロットランプに電源の白線(L)を接続し、もう一方の端子には対応するスイッチからの線を接続します。
つまり同時点灯する照明と並列に接続します。
簡略図で表すと下図のようになります。
※黒線:黒色、白線:青色、色指定のない線:オレンジ色で表しています。
3-2. 3路スイッチと4路スイッチ
同じ照明を複数の場所で入り切り操作するために3路スイッチと4路スイッチが使用されます。
第二種電気工事士の技能試験では3路スイッチと4路スイッチを使用する問題は、2通りの条件が出題されます。
3-2-1. 3路スイッチ×2個…問題No.6
この条件は問題No.6で出題されます。
3路スイッチが2個使用されるケースは、同じ照明を2か所で入り切りするための回路になります。
接続方法は以下のとおりです。
- 電源に近い方の3路スイッチの「0」端子→電源の黒線(L)を接続
- 2つの3路スイッチ同士の「1」→「1」、「3」→「3」を接続(1と3が入れ替わっても良い)
- 電源から遠い方の3路スイッチの「0」端子→照明に接続
簡略図で表すと下図のようになります。
※黒線:黒色、白線:青色、色指定のない線:オレンジ色で表しています。
※3路スイッチ間の配線は1→3、3→1と入れ替わっても問題ありません。
3-2-2. 3路スイッチ×2個+4路スイッチ1個…問題No.7
この条件は問題No.7で出題されます。
3路スイッチが2個と4路スイッチが1個使用されるケースは、同じ照明を3か所で入り切りするための回路になります。
接続方法は以下のとおりです。
- 電源に近い方の3路スイッチの「0」端子→電源の黒線(L)を接続
- 3路スイッチを2個接続した場合の回路の2つの3路スイッチの間に4路スイッチを割り込ませるように接続する。
- 電源から遠い方の3路スイッチの「0」端子→照明に接続
簡略図で表すと下図のようになります。
※黒線:黒色、白線:青色、色指定のない線:オレンジ色で表しています。
※4路スイッチの配線は上図から4路スイッチが上下反転又は、左右反転した状態での接続でも問題ありません。90度回転した状態での接続は不可です。
3-3. 端子台に置き換えられる部品
端子台に置き換えられる部品は5通りのケースがあります。
1つずつ順に説明していきます。
3-3-1. タイムスイッチ…問題No.3
この条件は問題No.3で出題されます。
タイムスイッチは設定した時間で照明をON/OFFさせるための器具です。
第二種電気工事士の技能試験では3極の端子台に置き換えられます。
3極の端子はS1、S2、L1と割り振られており、接続は以下のようになります。
- S1→100V電源の黒線(L)を接続
- S2→100V電源の白線(N)と照明の白線を接続
- L1→照明のもう一方の線を接続
簡略図で表すと下図のようになります。
※黒線:黒色、白線:青色、色指定のない線:オレンジ色で表しています。
3-3-2. 自動点滅器…問題No.13
この条件は問題No.13で出題されます。
自動点滅器は周囲が暗くなると自動的に照明を点灯、明るくなると消灯させるスイッチです。
第二種電気工事士の技能試験では3極の端子台に置き換えられます。
3極の端子は1、2、3と割り振られており、接続は以下のようになります。
- 1→100V電源の黒線(L)を接続
- 2→100V電源の白線(N)と照明の白線を接続
- 3→照明のもう一方の線を接続
前項のタイムスイッチと同様の接続になります。
簡略図で表すと下図のようになります。
※黒線:黒色、白線:青色、色指定のない線:オレンジ色で表しています。
3-3-3. 配線用遮断器+漏電遮断器…問題No.4
この条件は問題No.4で出題されます。
単相100V用(2極1素子)の配線用遮断器と、三相200V用(3極3素子)の漏電遮断器が電源回路として与えられる問題です。
第二種電気工事士の技能試験では5極の端子台に置き換えられます。
5極の端子は100V(N)、100V(L)、200V(T)、200V(S)、200V(R)と割り振られており、接続は以下のようになります。
- 100V(N)→100V電源の白線(N)を接続
- 100V(L)→100V電源の黒線(L)を接続
- 200V(T)→200V電源の黒線(T)を接続
- 200V(S)→200V電源の黒線(S)を接続
- 200V(R)→200V電源の黒線(R)を接続
簡略図で表すと下図のようになります。
※黒線:黒色、白線:青色、赤線:赤色で表しています。
3-3-4. 配線用遮断器+漏電遮断器+接地端子…問題No.5
この条件は問題No.5で出題されます。
単相100V用(2極1素子)の配線用遮断器と、単相200V用(2極2素子)の漏電遮断器の電源回路と接地端子が与えられる問題です。
第二種電気工事士の技能試験では5極の端子台に置き換えられます。
5極の端子は100V(N)、100V(L)、200V、200V、ETと割り振られており、接続は以下のようになります。
- 100V(N)→100V電源の白線(N)を接続
- 100V(L)→100V電源の黒線(L)を接続
- 200V→200Vの電源線を接続(色指定なし)
- 200V→200Vの電源線を接続(色指定なし)
- ET→接地極に接続
簡略図で表すと下図のようになります。
3-3-5. リモコンリレー…問題No.8
この条件は問題No.8で出題されます。
リモコンリレーはリモコントランス、リモコンスイッチと組み合わせて、電灯をON/OFFさせるための回路です。
第二種電気工事士の技能試験では3個のリモコンリレーが6極の端子台に置き換えられます。
6極の端子はイ、イ、ロ、ロ、ハ、ハと割り振られており、接続は以下のようになります。
- イ→100V電源の黒線(L)を接続
- イ→照明器具イを接続
- ロ→100V電源の黒線(L)を接続
- ロ→照明器具ロを接続
- ハ→100V電源の黒線(L)を接続
- ハ→照明器具ハを接続
簡略図で表すと下図のようになります。
※黒線:黒色、白線:青色、色指定のない線:オレンジ色で表しています。
※図では上側が電源の黒線(L)、下側が照明の配線となっていますが、入れ替わっても問題ありません。
…以上、単線図から複線図を描くためのポイントについて書かせていただきました。
以上を踏まえて、13問の候補問題を3周ほど繰り返して複線図を描けば、複線図の描き方はマスターできます。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。