こんにちは、リキリツです。
今回は電気設備点検で役立つスマートフォン用サーモグラフィ「FLIR ONE Pro」という商品を紹介する記事を書かせていただきます。
電気設備点検の業務では、電気機器の劣化・異常の確認のため、機器温度を測定する点検があります。
「FLIR ONE Pro」はスマートフォンに取り付けて使用できるサーモグラフィカメラなので、電気機器温度の測定にとても役立ちます。
私は実際に業務で「FLIR ONE Pro」で機器の異常を早期発見し、電気事故を未然に防止できた経験が何度もあります。
電気設備点検に係っておられる方に、「FLIR ONE Pro」がどのような製品なのか、どんなふうに役立つのかなどを参考にしていただければと思います。
- 1. スマートフォン用サーモグラフィ「FLIR ONE Pro」の紹介
- 2. FLIR ONE Proのおすすめできるポイント
- 3. FLIR ONE Proの注意点
- 4. FLIR ONE Proを使用して電気設備点検で発見できた事例
- 5. スマートフォン用サーモグラフィ「FLIR ONE Pro」商品リンク
1. スマートフォン用サーモグラフィ「FLIR ONE Pro」の紹介
1-1. スマートフォンに取り付けて使用する
「FLIR ONE Pro」はスマートフォンの充電ケーブル差込口に取り付けて使用します。
(FLIR ONE Pro 本体)
実際にスマートフォンに取り付けて、サーモグラフィ画像を撮影している様子の画像です。
1-2. サーモグラフィ画像と通常画像を同時に撮影できる
「FLIR ONE Pro」で写真を撮影すると、サーモグラフィ画像と通常写真画像を同時に撮影することができます。
サンプル画像を以下に表示します。
画像下部の「IR」をタップするとサーモグラフィ画像に、「DC」をタップすると通常写真画像に切り替えられます。
またサーモグラフィの色合いは上の写真以外にも色合いを変更することができます。
色合いの例のいくつかを以下に表示します。
1-3. ホットポイント、コールドポイントの表示
「FLIA ONE Pro」で撮影したサーモグラフィ画像には、画像内の最高温度部分に「ホットポイント」という赤い点を、最低温度部分に「コールドポイント」という青い点を示すことができます。
また「ホットポイント」、「コールドポイント」は設定で非表示にすることもできます。
以下画像のホットポイントの少し上の無色のポイントは画面中央を表しています。
1-4. 製品仕様
「FLIR ONE Pro」の主要な製品仕様について、以下の表にまとめます。
熱画像解像度 | 160x120 |
バッテリー駆動時間 | 約1時間 |
対象物温度範囲 | -20°C~120°Cおよび0°C~400°C |
精度 | ±3℃または±5%、周囲温度とシーン温度の差の通常のパーセント ユニットが15℃~35℃の範囲内にあり、シーンが5℃~120℃の範囲内にある場合、起動後60秒間に適用可能 |
使用温度 | 0℃~35℃、バッテリー充電0℃~30℃ |
スポットメーター | Off / ℃ / °F. 解像度 0.1℃ / 0.1° |
仕様詳細については、メーカーHPをご確認ください。
(商品リンク)
スマートフォン用サーモグラフィ「FLIR ONE Pro」は以下リンクよりご購入いただけます。i-os用とAndroid用がございますのでご購入にあたってはご注意ください。
(i-os用)
(android用)
2. FLIR ONE Proのおすすめできるポイント
2-1. 小さくて専用ケース付きなので持ち運びに便利
「FLIR ONE Pro」は、通常のカメラなどと比較すると、かなり小さくて専用ケースもついているので持ち運びにとても便利です。
専用ケースの大きさは、幅約95mm×奥行約75mm×高さ約35mmです。
(専用ケース)
(専用ケースの中)
2-2. スマートフォンに保存されるのでデータの移動が容易
「FLIR ONE Pro」は撮影した画像データがスマートフォンに保存されるので、データの移動や他の方への送付が簡単にできます。
通常のカメラでは必要な、画像データを一度パソコンや記録媒体へのコピーしてからの移動などの手間が不要なので、仕事の手間が軽減できます。
2-3. 不具合内容のイメージが第三者に正確に伝えられる
異常発熱している機器の情報をお客様へ報告したり、業務引きつぎの際に正確に伝えられるのはサーモグラフィ画像のメリットです。
機器温度を測定する検査には、放射温度計を使用することもありますが、放射温度計では測定結果を言葉で説明しないと第三者に伝えるため、伝達ミスや誤解の恐れがあります。
サーモグラフィの画像で伝えれば、発熱箇所を正確に伝えることができます。
3. FLIR ONE Proの注意点
3-1. 充電が必要
「FLIR ONE Pro」は使用前に充電をしておく必要があります。
またバッテリーの持続時間は約1時間なので、長時間の点検ではバッテリー切れの恐れがあります。
私は点検範囲が広い場合などは、放射温度計と「FLIR ONE Pro」を併用し、放射温度計で測定して異常があった場所のみ「FLIR ONE Pro」で再測定するようにしています。
3-2. 立ち上がり時間(数秒~)
「FLIR ONE Pro」を使用するときはスマートフォンのアプリの起動が必要となります。
アプリの起動は通常数秒(5秒程度)で起動できますが、スマートフォンの容量が圧迫されている場合などは、起動に時間がかかることもあります。
3-3. 使用しているスマートフォンが適合機種であるか購入前に要確認
「FLIR ONE Pro」は全てのスマートフォンに適合しておらず、適合機種でのみ使用できる製品です。
「FLIR ONE Pro」の購入前に、使用しているスマートフォンが適合機種であるかどうかの確認が必要となります。
確認はメーカーHPで確認ができます。「FLIRテクニカルサポートセンター」を確認するか、「FLIR ONE Pro」、「適合機種」で検索して調べるなどの方法で確認できます。
4. FLIR ONE Proを使用して電気設備点検で発見できた事例
4-1. 断路器の緩みによる過熱
高圧受変電設備の月次点検で、高圧機器の温度測定を実施していた際、断路器(DS)の1相が過熱していることを「FLIR ONE Pro」で発見できました。
停電作業で電気工事業者様に締め付けを実施していただきましたが、数か月後に過熱が再発したため、機器更新を実施しました。
欠相や火災などの重大事故になる前に、異常を早期発見できた例となります。
(写真は守秘義務があり、掲載させることができません。)
4-2. 工事用電源のブレーカ端子の錆による接触不良
分電盤点検時、工事用電源ブレーカの1相が発熱しているのを「FLIR ONE Pro」で発見できました。
すぐに使用者に電源の使用を中断してもらい原因を調査したところ、ブレーカ端子が錆びており、接続した端子との接触が不良であることがわかりました。
接点を研磨し、接点復活材を塗布した後、端子を接続しなおし、使用しながら「FLIR ONE Pro」で温度を再測定し、発熱が解消されたことを確認しました。
(写真は守秘義務があり、掲載させることができません。)
4-3. 太陽光パネル破損部からの発熱
太陽光発電所でパネル破損部を発見したため、「FLIR ONE Pro」で温度測定をしたところ過熱していることが分かりました。
報告書にサーモグラフィ画像を添付し、てオーナー様にパネルの交換を依頼したところ、速やかに交換を実施していただくことができました。
(写真は守秘義務があり、掲載させることができません。)
5. スマートフォン用サーモグラフィ「FLIR ONE Pro」商品リンク
スマートフォン用サーモグラフィ「FLIR ONE Pro」は以下リンクよりご購入いただけます。i-os用とAndroid用がございますのでご購入にあたってはご注意ください。
(i-os用)
(android用)
…以上、電気設備点検で役立つスマートフォン用サーモグラフィ「FLIR ONE Pro」の紹介記事を書かせていただきました。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。