電気の資格独学ブログ

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【仕事道具】電気手帳と電気工事士手帳の違い

※当ブログにはプロモーションが含まれています。

 

こんにちは、リキリツです。

 

電験三種を取得して転職をお考えの方も多いと思われますが、電気の実務では電験三種で勉強した内容以外にもたくさんの知識が必要です。

 

電気の実務でちょっと調べたいことがあるときに補助的な資料として便利な電気手電気工事士手帳にという手帳があります。

 

2022年にどちらも入手する機会があり、どちらがより自身が携わっている電気の業務に向いているのか気になったので、違いを調査してみました。

 

電気の実務に就かれている方や、電気業界に転職を検討されている方に参考にしていただければと思います。

 

 

※2022年12月4日に公開した記事ですが、2023年10月24日に最新版の手帳に合わせて修正・更新いたました。

※記事内の調査結果は2022年度版のものとなります。

1. 電気手帳・電気工事士手帳とは

電気手帳・電気工事士手帳とは、オーム社から毎年発売されている電気の実務に役立つ技術資料がついた手帳です。

 

構成は一般の手帳のようなカレンダー、週ごとの予定表欄、メモ、地図、主要都市部の路線図に加えて、電気の実務に役立つ約160ページの技術資料がついています。

 

技術資料のおおまかな項目は以下表のように分類されています。

 

No. 技術資料目次 内容
1 一般・基礎資料 単位、団体・規格の名称などの基礎情報
2 材料 ケーブル、電線管、ボックスなどの規格
3 高圧受電設備 高圧受電設備の分類、単線結線図例など
4 幹線設備 幹線の容量、規格、電圧降下の計算など
5 動力設備と制御 電動機の規格、制御器具番号、シーケンス制御図記号など
6 照明設備・分岐回路など 光源の種類、規格など
7 図記号と配線/新エネルギー発電 配線用図記号、配線方法・基準、太陽光・風力発電についてなど
8 保守管理・試験測定 定期点検で実施する各種試験について
9 消防設備(消防・環境) 消防設備の種類・設置基準、その他環境の基準など
10 電気安全・電気事業法関係法令(電気工事士法等関係法令) 電気の実務に関連する法令について
11 付録:その他一般 資格試験、電力会社他機関の連絡先など

 

なお電気手帳と電気工事士手帳では技術資料の内容が一部異なっています。

 

それでは次項から共通部と非共通部について調査した結果を、書かせていただきます。

 

2. 電気手帳と電気工事士手帳の共通部

まず、一般の手帳にもあるカレンダー、週ごとの予定表欄、メモ、地図、主要都市部の路線図については電気手帳も電気工事士手帳も全く同じです。

 

技術資料は163ページ(目次3ページ、本編160ページ)ありますが、電気手帳と電気工事士手帳の共通部は118ページ分あります。

 

つまり共通部/全体=118/160=0.7375となり、技術資料の73.75%が共通部となります。

 

共通部の項目について、以下の表にまとめます。

 

No. 分類 共通部目次 ページ数
1 一般・基礎資料 度量衝換算表/国際単位系/指示電気計器/電圧の種別/電線の色別/電気関係標準規格の種類と名称/団体・規格の略称/
電力会社別の受電電圧(※1)
12
2 材料 電線・ケーブルの種類と規格・記号/EM電線・ケーブルの規格/高圧配線の電線太さと高圧ケーブルの許容電流/600Vビニル絶縁電線(IV)の許容電流/600V CVケーブルの許容電流(1)/600Vビニル絶縁ビニルシースケーブルの規格/600V ポリエチレンケーブルの規格/6600V高圧架橋ポリエチレンケーブルの規格/電線管の規格 13
3 高圧受電設備 高圧引込方式と責任分界点/主遮断装置による高圧受電設備の分類/形式・施設場所・主遮断装置による受電設備容量の制限/キュービクル式高圧受電設備(CB形)の単線結線図例/引込別結線図/母線以降の結線/キュービクル式高圧受電設備の種類と寸法/CB形高圧受電設備の単線結線図/PF・S形高圧受電設備の単線結線図/非常用予備発電装置付きの受電設備系統図/非常用予備発電装置付きの受電設備系統図/自家用電気工作物の設置件数/高圧受電設備機器の文字記号・用語 13
4 幹線設備 電気方式による電力/電流対照表/電気方式による電力/電流対照表/幹線の電圧降下の計算/電灯幹線の最大使用電流と電線の太さ・開閉器の容量等/許容電流が大の電線から小の電線を分岐する場合の配線保護/200V三相誘導電動機の幹線の太さ及び配線用遮断器の容量/不平衡負荷の制限と不平衡率の計算 7
5 動力設備と制御 誘導電動機の特性/制御器具番号/シーケンス制御用図番号と記号/200V三相誘導電動機1台の場合の分岐回路の電線太さ・過電流遮断器などの容量 9
6 照明設備・分岐回路等 JISの照度基準/光源の種類と特性/コンセントの選定 4
7 図記号と配線/新エネルギー発電 構内電気設備の配線用図記号/施設場所と配線方法/配線と建造物その他との離隔距離早見表/電線最大こう長表/電線管とビニル絶縁電線の収容本数/電気設備の地震対策/系統連系形小出力太陽光発電システム/産業・公共用太陽光発電システムの構成/太陽光発電システムの太陽電池モジュールと太陽電池容量 26
8 保守管理・試験測定 定期点検時の良否判定 2
9 消防設備(消防・環境) 防火対象物(消防法施行令別表第1)/漏電火災警報器の設置基準/自動火災報知設備の設置基準/誘導灯の種類/誘導灯設備の設置基準 8
10 電気安全・電気事業法関係法令(電気工事士法等関係法令) なし 0
11 付録:その他一般 電力会社/電気保安協会/電気管理技術者協会/日本電気協会/関係団体等連絡先一覧/手紙の基本など/国内郵便料金表 24
合計 118

 

3. 電気手帳にのみにある内容

※写真は記事作成時の2022年度版の電気手帳です。

 

電気手帳にのみに記載のある項目について以下の一覧表にまとめます。

 

技術資料160ページ中、電気手帳にのみ記載の部分全体の約4分の142ページあります。(42/160= 26.25%)

 

No. 分類 電気手帳のみ記載の項目 詳細 ページ数
1 一般・基礎資料 よく使われる電気関係など略語一覧 ASDL,ALCなど 3
2 材料 600V VVケーブル,IV電線(管に収める場合)の許容電流 単線・より線の場合の各太さの許容電流 1
3 高圧受電設備 単相変圧器の容量と外径寸法 外径寸法・据付寸法・油量・総質量など 1
三相変圧器の容量と外径寸法 外径寸法・据付寸法・油量・総質量など 1
高圧進相コンデンサの容量と外径寸法 外径寸法・据付寸法・油量・総質量など 1
変圧器のインピーダンス電圧等特性 無負荷電流・電圧変動率・短絡インピーダンス・効率など 1
短絡電流の概略計算 %インピーダンス・短絡電流早見図による算定 1
高圧受電設備機器の更新推奨の目安 高圧機器類の更新推奨時期 1
波及事故と波及事故防止対策 GR付きPASの設置、その他波及事故対策 1
高調波抑制対策の判定フロー 高調波発生時の検討用フロー図 1
5 動力設備と制御 漏電遮断器の施設(詳細 設置義務、一般的な施設例、種類 3
6 照明設備・分岐回路等 自然の照度・電磁波の周波数 日なた・日陰などの照度、電磁波の周波数分布 1
分岐回路の施設(簡易 受口の施設、住宅の分岐回路数 1
7 図記号と配線/新エネルギー発電 接地工事の種類と接地抵抗値(簡易 A・B・C・D種接地の接地抵抗、目的 1
風力発電システムの構成例と風車の特性 プロペラ形風力発電システムの構成例、各種風車の出力係数と周速比の関係 1
8 保守管理・試験測定 「電気設備技術基準の解釈」による規制数値 架空電線の地表上の高さ、引込線の架空部分の規制など 3
電気設備の定期点検チェックリストの例 日常巡視点検、定期巡視点検、精密点検、測定などの項目と周期 4
測定器・試験機の種類と選定 各種試験ごとの測定器と選定上の留意事項 2
継電器・絶縁油・ケーブル等の判定基準 51G、67G、51、絶縁油、指示計器、ケーブル試験の判定基準 2
絶縁材料・変圧器絶縁油 絶縁材料の耐熱区分、変圧器絶縁油の温度上昇限度 1
9 消防・環境 騒音と法規制 騒音規制法による基準など 1
ばい煙と大気汚染防止法 ばい煙の種類と規制、ばい煙対策と発電設備 1
10 電気安全・電気事業法関係法令 作業安全の心得 一般事項、停電作業、活線又は活線近接作業、高所作業 3
電気事業法関係法令 日本の電気保安体制、電気工作物の種類、保安規定など 4
電気工事士法等関係法令( 電気工事士法、電気工事業法、電気用品安全法 2

 

電気手帳」は「1.一般・基礎資料 」、「3. 高圧受電設備」、「5. 動力設備と制御 」と「8.保守管理・試験測定」の項目の情報量が多いと言えます。

 

10. 電気安全・電気事業法関係法令」については、作業安全の心得・電気事業法関係法令の記載が多い代わりに、電気工事士法については簡易版の情報が記載されています。

 

6. 照明設備・分岐回路等」、「7. 図記号と配線/新エネルギー発電」には一部簡易版の資料となり、情報がやや少なくなっています。

 

 

4. 電気工事士手帳にのみにある内容

※写真は記事作成時の2022年度版の電気工事士手帳です。

 

電気工事士手帳にのみに記載のある項目について以下の一覧表にまとめます。

 

技術資料160ページ中、電気工事士手帳にのみ記載の部分は全体の約4分の1強の42ページあります。(42/160= 26.25%)

 

No. 分類 電気工事士のみ記載の項目 説明 ページ数
2 材料 600V CVケーブルの許容電流(2) 単心2個より、単心3個よりの許容電流 1
ボックス類の規格 アウトレットボックス、コンクリートボックス、スイッチボックス 1
電線の接続器具と圧着器具 圧着端子・スリーブ・圧着工具など 3
4 幹線設備 電線管に収める絶縁電線の許容電流 単線・より線のIV線を管に収めた場合の本数ごとの許容電流 1
5 動力設備と制御 漏電遮断器の施設(簡易 一般的な施設例・設置場所の例 1
6 照明設備・分岐回路等 一般照明用光源(ランプ)の種類と特徴 白熱・ハロゲン電球・蛍光ランプ・HIDランプなど 2
家庭用ランプの形式表示と口金サイズ 白熱電球・各種蛍光ランプなど 1
コンパクト形と電球形蛍光ランプの種類 コンパクト形:FPL,FDLなど、電球形:A形、G形など 1
電球形LEDランプの選び方 明るさの比較、口金サイズ・ルーメン・光色・配光での選び方 1
分岐回路の施設(詳細 分岐回路の電線に太さ、受口の施設、住宅の分岐回路数 2
非常用照明装置の設置基準 特殊建築物への設置など 1
7 図記号と配線/新エネルギー発電 鋼製電線管の太さとビニル絶縁電線の収容本数 厚鋼電線管、薄鋼電線管 1
電線管の内断面積及び収容最大本数 厚鋼電線管、薄鋼電線管、ねじなし電線管 1
プルボックスの大きさ決定 電線、ケーブル×直線配管、直角配管など 1
電話用配管と配線 電話用配管・ケーブル用配管の設計、屋内配管のこう長など 2
スイッチの種類と結線方法 1
接地線の太さ及び接地極 D種・B種・接地極 1
接地線の種類と要点(詳細 A・B・C・D種接地の接地抵抗、太さ、使用場所 2
8 保守管理・試験測定 絶縁抵抗・接地抵抗の測定 測定器の接続方法など 3
試験回路の接続図 絶縁耐力試験、過電流継電器試験など 2
9 消防設備 自動火災報知設備の構成 P型1級受信機の設備構成例 1
住宅用火災警報器の設置 住宅用火災警報器の図記号、一例、適用事例、等級 1
10 電気安全・電気事業法関係法令 電気工事士法関係法令(詳細 電気工事士法、施行例、思考規則 6
電気工事業法関係法令 法律、施行規則 5

 

電気工事士手帳」は「2. 材料」、「4. 幹線設備」、「6. 照明設備・分岐回路等」、「7. 図記号と配線/新エネルギー発電」の項目の情報量が多いと言えます。

 

10. 電気安全・電気事業法関係法令」については、作業安全の心得・電気事業法関係法令の記載がない代わりに、電気工事士法については詳細の情報が記載されています。

 

1.一般・基礎資料 」、「3. 高圧受電設備」、「5. 動力設備と制御」、「8.保守管理・試験測定」については一部簡易版の資料があったり、情報がやや少なくなっています。

 

5. まとめ(相違点の比較)

電気手帳のみに記載の情報、電気工事士手帳にのみ記載の情報、共通部の項目ページ数を以下の一覧表にまとめます。

 

No. 分類 電気手帳のみ 電気工事士手帳のみ 共通部 情報が多い方
1 一般・基礎資料 3 0 12 やや電気手帳
2 材料 1 5 13 電気工事士手帳
3 高圧受電設備 8 0 13 電気手帳
4 幹線設備 0 1 7 やや電気工事士手帳
5 動力設備と制御 3 1 9 やや電気手帳
6 照明設備・分岐回路など 2 8 4 電気工事士手帳
7 図記号と配線/新エネルギー発電 2 9 26 電気工事士手帳
8 保守管理・試験測定 12 5 2 電気手帳
9 消防・環境(消防設備) 2 2 8 ・電気手帳:消防+環境
・電気工事士手帳:消防に特化
10 電気安全・法令 9 11 0 ・電気手帳:安全と法令全般
・電気工事士手帳:電気工事士法に特化
11 付録:その他一般 0 0 24 全て同じ
- 合計 42 42 118 -

 

「電気手帳」・「電気工事士手帳」のどちらを購入するかは、ご自身の業務に必要な情報が多い方を選択されると良いと思われます。

 

6. 商品リンク

2023年10月24日に発売されました2024年度版の電気手帳と電気工事士手帳の商品リンクを貼り付けておきます。

(2024年度版電気手帳)

 

(2024年度版電気工事士手帳)

 

…以上、電気手帳と電気工事士手帳の違いについて書かせていただきました。

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。