こんにちは、リキリツです。
2級ボイラー技士の資格では、学校などで学ぶ機会がないボイラーについて学習する必要があるので、難しそうでとっつきにくいものだと思われている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
私もボイラーに接する機会が全くない状態から、2級ボイラー技士試験の学習を初めて見たのですが、過去に受験した他の資格で覚えた知識が含まれていたので、スムーズに学習をすすめることができました。
2級ボイラー技士の学習内容は全て暗記問題なので、少しでも最初から知っていることがあると、暗記することを少なくできるので学習を有利に進められます。
今回は2級ボイラー試験の資格学習に役立てることができる他の資格と共通する知識について書かせていただきます。
2級ボイラー技士試験にご興味のある方や、今回紹介する資格を既に取得していて次に受験する資格を探している方などに参考にしていただければと思います。
1. 乙種第4類危険物取扱者試験
乙種第4類危険物取扱者試験(以下、乙4とします)は、化学分野に関する学習内容が多い資格です。
乙4と、2級ボイラー技士とで共通する知識を表にまとめてみます。
No. | 乙4と2級ボイラー技士との共通する知識 | 乙4科目 |
---|---|---|
1 | 重油の性質 | 危険物の性質 |
2 | 酸性、アルカリ性、pH | 基礎的な物理化学 |
3 | 引火点・着火温度 | 基礎的な物理化学 |
4 | メタン・プロパンの性質 | 基礎的な物理化学 |
5 | 燃焼の三要素 | 基礎的な物理化学 |
6 | 拡散燃焼方式・予混合燃焼方式 | 基礎的な物理化学 |
7 | 蒸発燃焼 | 基礎的な物理化学 |
乙4と2級ボイラー技士には、ボイラーで使用する燃料の性質や水管理で必要なpH(ペーハー)に関する知識など7項目の共通する知識がありました。
乙4は今回紹介する知識の中では難易度が低いほうなので、2級ボイラー技士と連続して受験することで、暗記する項目を減らすことができるので優位になります。
2. 電験三種・電験二種
電験三種は主に電気工学・物理学に関しての学習が必要な資格で、電験二種はその上位資格で1次試験と2次試験がある資格です。
電験三種+電験二種1次と電験二種2次試験に分けて、2級ボイラー技士と共通する知識を表にまとめます。
電験二種2次試験で該当する項目はより深く学習できている項目となります。
No. | 電験と2級ボイラー技士との共通する知識 | 電験三種・二種1次科目 | 電験二種2次科目 |
---|---|---|---|
1 | ベルヌーイの定理 | 電力:水力発電 | - |
2 | 理論空気量・空気比 | 電力:火力発電 | - |
3 | 固体燃料(石炭) | 電力:火力発電 | - |
4 | ボイラーの種類(自然循環式、強制循環式、貫流ボイラ) | 電力:火力発電 | 電力・管理 |
5 | SOX、NOX、ばいじん | 電力:火力発電 | 電力・管理 |
6 | 飽和蒸気・過熱蒸気 | 電力:火力発電 | - |
7 | 節炭器(エコノマイザ)、空気予熱器 | 電力:火力発電 | 電力・管理 |
8 | PID制御、シーケンス制御 | 機械:自動制御 | - |
9 | 比熱、 | 機械:電熱 | - |
10 | 潜熱、顕熱、水の状態変化 | 機械:電熱 | - |
11 | 酸性、アルカリ性、PH | 機械:電気化学 | - |
電験では「電力」と「機械」科目と二種2次試験の「電力・管理」で2級ボイラー技士と共通する11項目の知識を学習できます。
特に「電力」科目の「火力発電」の分野では、ボイラーを使用する汽力発電所について学習するので、共通する項目を多く含みます。
ベルヌーイの定理は2級ボイラー技士の学習に直接出てきませんが、水の圧力が流速の2乗に比例することを理解できていると、流量計に関する問題で悩まずに答えを出せるものがあります。
電験三種は難易度がかなり高く学習範囲も広いので、2級ボイラー技士の資格のために事前に電験三種を受験しておくというよりは、次のいずれかのケースで受験することが現実的だと思われます。
- 先に難易度の低い2級ボイラー技士を学習してから、ステップアップして電験三種を受験する
- 電験三種を取得済みで、電験の知識を活かせる資格である2級ボイラー技士を受験する
3. エネルギー管理士
エネルギー管理士は電気分野か熱分野のどちらかを選択して受験する資格です。
どちらか一方を選択するので、一方は学習しないことになりますが、電気分野と熱分野のどちらがより2級ボイラー技士と共通する知識が多いかを見ていきます。
3-1. エネルギー管理士(電気分野)
エネルギー管理士(電気分野)と、2級ボイラー技士とで共通する知識を表にまとめてみます。
No. | エネ管(電気分野)と2級ボイラー技士との共通する知識 | エネ管(電気分野)科目 |
---|---|---|
1 | PID制御、シーケンス制御 | 電気理論:自動制御 |
2 | 比熱 | 電力応用:電熱 |
3 | 潜熱、顕熱、水の状態変化 | 電力応用:電熱 |
4 | 理論空気量・空気比 | エネルギー総合管理:燃焼の管理 |
エネルギー管理士(電気分野)の学習内容は、電験三種と共通する部分が多いのですが、発電分野の内容が含まれておりません。
よってエネルギー管理士(電気分野)と2級ボイラー技士との共通知識は電験三種より少なくなり、4項目のみとなります。
3-2. エネルギー管理士(熱分野)
エネルギー管理士(熱分野)と、2級ボイラー技士とで共通する知識を表にまとめてみます。
No. | エネ管(熱分野)と2級ボイラー技士との共通する知識 | エネ管(熱分野)科目 |
---|---|---|
1 | 理論空気量・空気比 | エネルギー総合管理:燃焼の管理 |
2 | 飽和蒸気・過熱蒸気 | 熱と流体の流れの基礎:蒸気サイクル |
3 | ベルヌーイの定理 | 熱と流体の流れの基礎:流体の流れと基礎方程式 |
4 | 熱伝導・熱放射・熱伝達 | 熱と流体の流れの基礎: |
5 | 引火点・着火点 | 燃料と燃焼:燃料の基礎 |
6 | 比熱 | 燃料と燃焼:燃料の基礎 |
7 | 潜熱、顕熱、水の状態変化 | 燃料と燃焼:燃料の基礎 |
8 | メタン・プロパン | 燃料と燃焼:気体燃料 |
9 | LNG,LPG | 燃料と燃焼:気体燃料 |
10 | 重油の性質 | 燃料と燃焼:液体燃料 |
11 | 固体燃料(石炭) | 燃料と燃焼:固体燃料 |
12 | 重油バーナ | 燃料と燃焼:燃焼装置 |
13 | 拡散燃焼方式・予混合燃焼方式 | 燃料と燃焼:燃焼装置 |
14 | 固体燃料の燃焼方式 | 燃料と燃焼:燃焼装置 |
15 | SOX、NOX、ばいじん | 燃料と燃焼:環境対策 |
16 | 流量計の形式 | 熱利用設備及びその管理:計測方法 |
17 | PID制御、シーケンス制御 | 熱利用設備及びその管理:自動制御 |
18 | ボイラーの容量、効率 | 熱利用設備及びその管理:ボイラ- |
19 | ボイラーの種類(丸ボイラ,水管ボイラ) | 熱利用設備及びその管理:ボイラ- |
20 | ボイラ-の種類(自然循環式、強制循環式、貫流ボイラ) | 熱利用設備及びその管理:ボイラ- |
21 | 酸性、アルカリ性、PH | 熱利用設備及びその管理:ボイラ- |
22 | 水管理 | 熱利用設備及びその管理:ボイラ- |
23 | ボイラーの圧力制御・水位制御 | 熱利用設備及びその管理:ボイラ- |
24 | 節炭器(エコノマイザ)、空気予熱器 | 熱利用設備及びその管理:熱回収装置 |
エネルギー管理士(熱分野)は、学習内容に熱利用設備であるボイラーやボイラーで使用される燃料及びその燃焼に関しての知識を含むため、2級ボイラー技士と共通する知識数は今回調査した中で最多の24項目となります。
エネルギー管理士も難易度の高い資格ですので、電験と同じく、2級ボイラー技士の資格のために事前にエネルギー管理士を受験しておくというよりは、次のいずれかのケースで受験することが現実的だと思われます。
- 先に難易度の低い2級ボイラー技士を学習してから、ステップアップしてエネルギー管理士(熱分野)を受験する
- エネルギー管理士(熱分野)を取得済みで、エネルギー管理士(熱分野)の知識を活かせる資格である2級ボイラー技士を受験する
4. まとめ
4-1. 一覧表
ここまで紹介してきた2級ボイラー技士と他の資格との共通する知識を一覧表にまとめてみました。
共通する知識があるセルには「〇」を記入しております。
注)
乙4…乙種4類危険物取扱者
電験…電験三種及び電験二種
エネ管(電気)…エネルギー管理士(電気分野)
エネ管(熱)…エネルギー管理士(熱分野)
No. | 2級ボイラーと他の資格と共通する知識 | 乙4 | 電験 | エネ菅 (電気) |
エネ管 (熱) |
2級ボイラー科目 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 比熱 | - | 〇 | 〇 | 〇 | 構造 |
2 | 潜熱、顕熱、水の状態変化 | - | 〇 | 〇 | 〇 | 構造 |
3 | 飽和蒸気・過熱蒸気 | - | 〇 | - | 〇 | 構造 |
4 | 熱伝導・熱放射・熱伝達 | - | - | - | 〇 | 構造 |
5 | ボイラーの容量、効率 | - | - | - | 〇 | 構造 |
6 | ボイラーの種類(丸ボイラ,水管ボイラ) | - | - | - | 〇 | 構造 |
7 | ボイラ-の種類(自然循環式、強制循環式、貫流ボイラ) | - | 〇 | - | 〇 | 構造 |
8 | 流量計の形式 | - | - | - | 〇 | 構造 |
9 | ベルヌーイの定理 | - | 〇 | - | 〇 | 構造 |
10 | 節炭器(エコノマイザ)、空気予熱器 | - | 〇 | - | 〇 | 構造 |
11 | PID制御、シーケンス制御 | - | 〇 | 〇 | 〇 | 構造 |
12 | ボイラーの圧力制御・水位制御 | - | - | - | 〇 | 構造 |
13 | 酸性、アルカリ性、PH | 〇 | 〇 | - | 〇 | 取扱い |
14 | 水管理 | - | - | - | 〇 | 取扱い |
15 | 引火点・着火温度 | 〇 | - | - | 〇 | 燃料及び燃焼 |
16 | 蒸発燃焼 | 〇 | - | - | - | 燃料及び燃焼 |
17 | 重油の性質 | 〇 | - | - | 〇 | 燃料及び燃焼 |
18 | メタン・プロパンの性質 | 〇 | - | - | 〇 | 燃料及び燃焼 |
19 | LNG,LPG | - | - | - | 〇 | 燃料及び燃焼 |
20 | 固体燃料(石炭) | - | 〇 | - | 〇 | 燃料及び燃焼 |
21 | 燃焼の三要素 | 〇 | - | - | - | 燃料及び燃焼 |
22 | 理論空気量・空気比 | - | 〇 | 〇 | 〇 | 燃料及び燃焼 |
23 | 重油バーナ | - | - | - | 〇 | 燃料及び燃焼 |
24 | 拡散燃焼方式・予混合燃焼方式 | 〇 | - | - | 〇 | 燃料及び燃焼 |
25 | 固体燃料の燃焼方式 | - | - | - | 〇 | 燃料及び燃焼 |
26 | SOX、NOX、ばいじん | - | 〇 | - | 〇 | 燃料及び燃焼 |
4-2. 相関図
また、2級ボイラー技士試験を中心として相関図にすると下図のようになります。
2級ボイラー技士とその他の資格のつながりを、ピンク色の線で示しております。
共通知識の数が多いほど太い線で示しています。
ピンク色の線の近くの数字は共通知識の数です。
…以上、2級ボイラー技士と他の資格との共通する知識について書かせていただきました。
2級ボイラー技士などの資格に興味のある方に、資格取得の計画に役立てていただければと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。